2015/03/21

肩パット・ユキ綿のこと

今回は"Distinto仕立て"の際に使う肩パットとユキ綿について紹介します。

Distinto(ディスティント)仕立てとは、手縫いの割合の多い、弊店のお仕立ての中で所謂ファーストラインにあたるお仕立てです。
このDistintoでは肩パットとユキ綿も、お客様のお好みや体型を考慮し、薄さや大きさを調整してその都度手作りしております。

肩パットです。イタリア語でspallineと言います。
まず、薄いフェルト地に綿をほぐしながら一枚一枚重ねていきます。
このフェルトと綿もイタリアから買っているもので、以前日本でも似寄りのものを探したのですが、なかなか良いものがありませんでした。



薄くほぐした綿を重ねていくのですが、段差が出来ないように均一に重ねていく作業は簡単なようでかなり難しいです。厚みの判断も難しいので、慣れていないと一つ作るのに小1時間かかります。



ユキ綿も同様です。ユキ綿は、袖を付けた後にアームホールに沿って付け、袖付け部分の膨らみを保つものです。こちらも手作りのものだと、何とも言えないフワッとした柔らかな膨らみになります。薄すぎると柔らかさ故に後で潰れてしまいますので、適度な厚みが必要となり、肩パットより難しいかもしれません。ちなみにイタリア語でrulliniと言います。


綿を乗せ終えたら裏地をかぶせて形にしていきます。この時の糸での止め方もコツがいります。



出来上がりです。このパットとユキ綿を付けた肩部分は、触るとすぐ分かりますが、本当にソフトな仕上りになります。着用時の軽さと柔らかさも驚きです。

Distinto仕立てとBuono仕立ての違いは大きく分けると手縫いの割合いの違いですが、こういった表には見えない付属部分も細かく違います。