2014/11/24

葛利毛織 スーツのお仕立て上がり

いよいよ本格的に寒くなってまいりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今日は、そんな立冬にふさわしいホットなお仕立て上がりをご紹介いたします。

生地は葛利毛織のプレミアムコレクションよりお選びいただきました。
ウール88%、ポリエステル12%(チンツ加工、ナノ撥水)の大変光沢のあるモダンな生地を、手縫い(DISTINTO)でお仕立て頂きました。

新規でご注文頂きましたH様。
御年は70歳を超えておられます。
ですが、お顔、身体、どちらとも20歳以上はお若くみえるほど外見も内面もとても素敵なお方です。

H様は元プロの社交ダンサーでおられます。
そのため、姿勢がものすごく良く、堂々とした紳士的な振る舞いがとても印象的でした。
私達職人はどうしても前かがみで仕事をするため、屈身(猫背)になりやすいのですが、これを機にH様の姿勢、生きる姿勢、両方とも見習わなければなりません。


そして、仮縫い時には実際に、ダンスを披露してくださいました。
社交ダンスを生で見させて頂いたのは初めてだったわけですが、本当に素敵で感激いたしました。


お仕立て上がりのスーツは、大変上品な光沢があり、夜の席にぴったりです。
社交ダンスでは肘をお顔の高さほど高く上げます。そのため、スーツを着たまま、実際に踊りやすく、きれいなラインを維持する型紙でお作り致しました。

アームホールは袖が突っ張らないよう、かなり浅めのジャストフィットです。
また、肩パッドをなくすなど、出来るだけ軽い仕立てで仕上げました。
それだけではなく、後ろ身頃の型紙も普通のスーツのものとは違い、ジャストフィットかつ動きやすくなるよう、しっかりとゆとりを入れております。

シャツ、タイのクラシックな組み合わせは勿論のこと、今日のようなクリーム色のニットで少しカジュアルダウンしたスタイリングでも素敵です。

イタリア流の柔らかい仕立てに、H様の堂々とした佇まい、完璧でございます。
この度は、ご注文頂きありがとうございました。


2014/11/03

オーダーメイドのチェスターフィールドコートとアルスターコート

だんだんと寒くなり、やっと秋らしくなってきましたね。
本日は、これからの冬の季節に活躍するコートを詳しくご紹介したいと思います。

まずは、チェスターフィールドコートをご紹介いたします。
そもそも、チェスターフィールドコートとは、19世紀にチェスターフィールド伯爵がはじめて着用したことが最も有力な由来とされています。コートの中では最もフォーマルな形として有名であり、着こなし、デザインによってはカジュアルにも対応いたしますので、弊店では非常に人気があります。





最もクラシックな物は、黒、ネイビー、チャコールクレー系のダークトーンなコート用の無地色で、前立てはシングル、ボタンは3つの比翼(ボタンが表面から見えないよう隠す)仕様にします。通常上衿にはベルベットを使用します。また、コートは防寒具ですので、やはり丈は膝もしくは膝が隠れるくらいが一番ベストと思われます。

写真のサンプルは、ハリソンズのオーバーコーティング Wool 100% 700gms で作った物です。
ボタンは打ち抜き仕様にし、クラシックなラインよりもVゾーンを少し下げ、若干モダンを意識しつつ流行に左右されないクラシックなデザインにしています。少し大柄なグレーのヘリンボーンに、上衿はブラックのベルベットで合わせ、少し遊んでみました。


このサンプルコートのような雰囲気でしたら、ビジネスからカジュアルまで幅広くご着用いただけると思います。また、上衿を共生地で仕立てた場合、カジュアル感が増し、サンプルの出来映えとは全く違った雰囲気となりますので、そちらもオススメです。

それともう一つ、お客様からよくご質問いただく一番下のボタンについて少しお話ししたいと思います。
もともとの型紙はジャケットとは違い、ボタンを留めることを前提として作っております。しかし実用的には一番下のボタンを留めると膝が前へ出しにくくなるため、ボタンをあけてお召しになっている方が多いかと思います。
ですので、最終的に「お客様のお好み」でどちらでもかまわないのではないかと思います。


サルトリアイプシロンではコートの場合、袖口ボタンは「重ねない」のが基本です。
袖口ボタンに関してはデザインの領域ですので、基本的にはどちらでも構わないのですが、船橋いわく、「コートのボタンまで重ねると少ししつこいのではないか」とのことです。

シングルチェスターコート
BUONO ¥224,000〜 / DISTINTO ¥389,000〜

ダブルチェスターコート
BUONO ¥246,400〜 / DISTINTO ¥427,900〜


続いてはアルスターコートをご紹介いたします。
アルスターコートとは、アイルランドのアルスター産の生地でつくられたものを発祥とする、“アルスターカラー”のついたコートを指します。

アルスターコートといっても色々なデザインがあり、また衿の形違いでポロコートというコートもあります。実際、アルスターコートを定義づけるにはデザイン、形に曖昧な部分も多く、アルスターコートは「こういったクラシックな形です!」とまでは正直言いきれません。
ですから、弊店のアルスターコートは船橋が「かっこいい」と思ったバランスでサンプルを作っております。





こちらのコートもクラシックな生地でお仕立ていただければ、ビジネスからカジュアルまで幅広くお召しいただけると思います。ダークトーンな色目は、見た目の締まりもよく、高級感が増します。

サンプルのコートは、船橋の私物でイタリア時代に仕立てた物で、生地ブランドは不明、素材はカシミア100%のクラシックなものです。全く同じ物はご用意できませんが、同じような色味、風合いの生地は、現行の各ブランドのサンプルバンチにてご用意することができます。


ウエストの絞り(ダーツ)はイタリア式の2面体で贅沢に生地を裁断します。
また、コートであるがゆえにバストにしっかりとゆとりを入れる必要があります。
そのため弊店ではダーツの取り方にも工夫があります。ですが、そこに関しては企業秘密にさせていただきます。


後ろのベントはプリーツが入り、さらに折り返してボタンで留める仕様です。
これは既製品では、ほぼ見ることの出来ない複雑な作り方です。こういった特殊な仕様でお作りすることで、よりドレッシーな雰囲気を感じさせてくれます。

その他、背中にもアクションプリーツが入り、袖口はターンナップカフ、ウエストには玉縁パッチポケットがつきます。

わりと普段、馴染みのないアルスターコートですが、ご着用いただくと独特な堂々とした貫禄を感じます。また、上手に着こなしていただければ、相当お洒落な雰囲気を醸し出してくれます。
弊店としては、是非ともお試しいただきたい一着です。

アルスターコート
BUONO ¥257,600〜 / DISTINTO ¥447,400〜

その他、ステンカラーコート、ナポレオンカラーコート等もご注文いただけます。
また、オリジナルのデザインコートにも対応いたしますので、まずはお電話、もしくはメールにてご連絡頂ければと思います。