2016/01/11

古波蔵保好アーカイブコレクション

新年明けても暖かい日が続いておりますね。

以前、ブログでご紹介いたしました古波蔵保好(こばくら やすよし)先生(過去のブログはこちら)。
古波蔵先生は第一回ベストドレッサー賞を受賞されており、男の着こなし術などファッションに関した本も何冊か出されております。(古波蔵保好wiki)

そんな昭和の着道楽であった古波蔵先生の洋服や小物類が当店に集結致しました。
古波蔵先生の娘さんのご厚意で、ご実家に眠っていたものをお譲りいただいた次第です。

その中の一部を現在アーカイブコレクションとして展示しております。

スーツ関係を中心に展示しております。


62年にオーダーされたアンジェロ・リトリコのアイリッシュリネンスーツ。
この時代のカリスマであるリトリコのスーツを目にする機会は滅多にありません。
(このスーツは船橋のお兄様のよしさんが、古波蔵先生が亡くなられた際に形見分けとして譲られたもので、よしさんからお借りしました。)

60年代に日本で初めて展開を始めたヘンリープール(松坂屋が招聘)です。
現地の英国人カッターが日本に指導に来ていたのですが、古波蔵先生はそのカッターを大変気に入り、彼がいた10年はこのヘンリープールでスーツやタキシード、コートを作っていました。
日本の職人が縫っていると思いますが縫い方が日本の縫い方と違うので、恐らく縫製指導もしていたと思われます。

マルチェロ・マストロヤンニのお抱えだったというローマのブルーノ・ピアテッリ。
ここのスーツが何着かあるので、イタリアものではお気に入りだったのかもしれません。
日本では既成のイメージが強いブランドですが、恐らく当時の手縫いのオーダーです。
イタリアらしい柔らかい仕立てです。

78年製のバーバリーロンドンのステンカラーコート

こちらは98年に船橋が作ったコーデュロイのスーツです。
船橋が縫ったものも3着ほどあります。

ヴィトンのガーメントケースです。トラウザーズは恐らくイタリアでオーダーされた手縫いのものです。(手前のグリーンのパンツはリトリコです。ネームが無い物もあり、どこで作られたか分からないものもあります)

ボルサリーノやクリスティーズのハット類。状態も抜群です。

カジュアルも少しありました。ボルサリーノのケースがかなりお洒落です。

これらの服は、主に60年代~70年代に誂えもしくは購入されたものがほとんどで、特にリトリコやピアテッリ、ヘンリープールなどの同時代のイタリアものとイギリスもののスーツを見られるというのは、我々職人にとっても大変貴重です。
また、そういった服を着られていた古波蔵先生にも敬服です。
さらに特筆すべきは、これらの洋服は全て手入れが丁寧にされており、着込まれて傷などがある部分は丁寧に修理がされております。古波蔵先生は本当に気に入ったものを長く大切に着るという方だったようです。

今の洋服にはなかなかない雰囲気が画像でも伝われば幸いです。
当店にお越しの際は是非ご覧くださいませ。(※一般公開はしておりません)