2012/08/09

残暑お見舞い

残暑お見舞い申し上げます。

この9月でミラノから移動し、あっと言う間に3年が経ちます。多々、いい事も悪いことも当然のように起りました。
ただ振り返りますと、祖国日本に戻り服作りに挑戦しつつ生活が出来たことに感謝する次第です。勿論一人ではやってはいけませんので、“お互い様”の心がいかに大事かを日々感じております。

毎日の通勤での人身事故の表示にはいまだに慣れません。
この驚きと悲しみは、なぜの一言です。
原爆で亡くなられた方の推定死者数約20万人、毎年の自殺者33千人、6年でこの数に達します。これを平和な国と呼べるのでしょうか?グローバルの言葉に追いまくられるこのテンポが人間の豊かさに必要なのでしょうか?

33年余り生活したイタリアは、人がゆったり生活出来る時間がありました。ですが今やヨーロッパの経済危機でこのテンポが変えられようとしています。(日本は敗戦後、経済発展一途に競争を繰り返した国ですが、)イタリアは戦後、労働者が権利を勝ち取った国です。
それが経済危機を理由に変えろと責め立てられているのです。
ですから大きな負担がかかるのは言うまでもありません。
この先どうなるか想像もつきません。自殺者が日本以上に増えるのか新たな革命が起こるのか。

世界中がこのグローバルの言葉に翻弄されている現状です。
一国の人たちが自分達の生活を自分達の力で生活出来ることこそが基本(文化)ではないのでしょうか。
それぞれがそれぞれの役割を果たす責任と、それを受け継がせる責任が自然に生まれる。これこそがゆとりあるテンポの生まれる文化の基本ではないでしょうか。
私は、ネオルネサンスを生きる洋服屋としてこの道を求め歩き続けます。

船橋 幸彦