2023/03/26

ご挨拶


例年になく早い桜の便りが聞かれますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。


 私はかつて東京をスタート地点とし、ロンドン、ローマ、ミラノにて40年余りを過ごしてまいりました。それは、洋服屋としてやっていくなら本場の国々に行って学ぶ必要がある、でなければ将来息詰まるであろうとの考えからでした。そして、作れば作るほどに、追求すればするほどに、洋服というものは奥が深いものであることを知り、さらにその魅力に取り憑かれていきました。

 ですが、「様々な体型に対してどのように向き合っていくか」というテーマにおける壁は高く大きいものであり、この宿題は日本に戻って解決するのが良いのではないかという考えから、私は2009年に東京に戻りました。

 2015年に、3Dカメラを使っての寸法・体型の把握に挑戦しましたが、画像処理等に時間がかかりすぎること、やはり写真では精密さに欠けることなどがわかり、断念しました。

 2019年、弊社の経営革新計画に関する承認を東京都から頂くことができ、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」にて3Dスキャナー、3DCADCLO3D着装シミュレーションシステム)を入手しました。

 そして2021年、経済産業省より「事業再構築補助金」を受け、「3DボディスキャナーとAIを活用した仮縫不要パターン制作事業」(プロジェクト名)の展開を開始いたしました。そこにおきましては、国立研究開発法人である産業技術総合研究所と委託業務契約を結ばせていただき、現在、AIに学習させる実験を進めております。



 以上のような道のりを経て、弊社では今、3Dスキャナーデジタルの進化によって正確にアバターが再現できるようになりました。これにより、人の体のそれぞれのパーツの面積や体積を測ることができます。そして、あともう一歩で、様々な体型の更に正確な把握が可能となるでしょう。私が開発し、命名した「やじろべえ理論」(洋服のバランスの取り方に関する理論)をも駆使し、より軽い、よりストレスのない、「貴方だけの服」を提供させていただきたく存じます。

 今後共ご支援の程、宜しくお願い申し上げます。



船橋幸彦