2018/10/19

バロック音楽について

最近は少し寒くなってまいりましたね。
そろそろニットも必要になりそうです。


アトリエコンサートまであと1週間です。
今までバロック音楽について詳しく取り上げなかったためテノール歌手の松浦さんに伺ったところ、皆様に向けたメッセージと共に解説頂きました。
またプログラムも決まりましたのでここでお知らせ致します。
どうぞご覧下さい。





松浦 諒

皆様はイタリア音楽といえば何を思い浮かべるでしょうか?
歌とオーケストラ、舞踏や豪華な舞台美術による、煌びやかな総合芸術としての「オペラ」を思い浮かべる方が多いのではないかと思います。
物語を歌い語る「オペラ」は1600年のイタリアで生まれました。
この1600年を皮切りとして1750年頃まで続く「バロック時代」がはじまります。
今回演奏する曲は、この「バロック時代」の作品を中心としています。

「バロック時代」といえば、「四季」のヴィヴァルディや「メサイア」のヘンデル、「音楽の父」と称されるバッハ等がおりますが、彼らの活躍した1700年代はバロック時代後期、音楽変遷の集大成的な作品であり、いわゆる「クラシック音楽」へ直結していく様相が多く見られます。
しかし1600年代こそをバロック時代の中心期と捉えると、オペラをはじめとした新たな音楽ジャンルの発祥地であるイタリアには実に多様な音楽のあり方を同時的に見ることができます。

ピアノという楽器がまだ生まれる前の時代、リュートをはじめ楽器の音量は総じて小さく、ちょうどサルトリアイプシロンのアトリエコンサートのような空間でこそ演奏するのに適したものでした。
また、音楽の聴こえる場といえば、貴族たちの宮廷をはじめ、人々の親密なコミュニケーションの起こるサロンのような空間が多かったと考えられています。
現代のクラシック音楽事情と異なり、歌い手はいくつもの楽器を弾きこなし、同時に歌うこともしばしばでした。


今回のコンサートは1500年代半ばに作られたルネサンスの重唱からはじまり、1700年代の後期バロック曲まで、時代の流れと共に音楽の変遷を追体験していただきます。
現代日本の生活からは少し離れた、「音楽」という概念がダイナミックに動いていく流れを辿るプログラムを構成してみました。
江戸時代から市井文化の発信地として知られる日本橋に居を構えるサルトリア・イプシロンで、国や時代を超えた豊かな文化交流の場を皆様と共に生み出し共有できることを嬉しく思います。



プログラム

・西風が戻り/クラウディオ・モンテヴェルディ
・本当の事とは思えない/コスタンツォ・フェスタ
・フィレンツェのアリア/作曲者不詳
・信じる者は愚かだ/タルクィニオ・メールラ
・白い花/チェザーレ・ネグリ
・この歌を聞いてください/タルクィニオ・メールラ
・そよ風吹けば/ジローラモ・フレスコバルディ
・幸せな恋人/ジョヴァンニ・ステファー二
・何て運命/アントニオ・カルダーラ
・こんな美味い/アントニオ・カルダーラ
・泣かせてください/ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル
・樹木の陰で/ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル
・涙する美しい人/ジョヴァンニ・フェリーチェ・サンチェス
・愛の神は/アントニオ・カルダーラ



以前演奏頂いた木越ご夫妻もバロック音楽を演奏して下さいましたね。



松浦さんのおっしゃる”いわゆる「クラシック音楽」”とはベートーベンやモーツァルトなどの私達がオーケストラで良く演奏されているだろうと連想する曲ですね。
演奏の編成を大きく2つに分けると100人規模の大人数で演奏するオーケストラと10人未満の少人数で演奏する室内楽があり、バロック音楽は主に室内楽に当たります。
ピアノ何重奏や弦楽何重奏といった編成の曲ですね。

船橋曰くバロック音楽はフルオーダーの手縫いのスーツ、(現代クラシックも他も含め)現代音楽は既製服に例えられるそうです。
バロック音楽は小規模で小音でも音楽の質や古楽器を扱う演奏者のテクニックが求められ、その高尚な様が取り分け貴族たちに好まれました。
対して、現代音楽は文明の発達と共に楽器も進化し大衆に向けに音を大きく華やかにする事でコンサート会場の端まで届くようにと発展していったそうです。
納得してしまう例えですね。

当日は花金でございますが、ご都合よろしければぜひお越し下さいませ。
皆様のご来場心よりお祈り申し上げます。




サルトリアイプシロン Sartoria Ypsilon

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