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2023/03/26

ご挨拶


例年になく早い桜の便りが聞かれますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。


 私はかつて東京をスタート地点とし、ロンドン、ローマ、ミラノにて40年余りを過ごしてまいりました。それは、洋服屋としてやっていくなら本場の国々に行って学ぶ必要がある、でなければ将来息詰まるであろうとの考えからでした。そして、作れば作るほどに、追求すればするほどに、洋服というものは奥が深いものであることを知り、さらにその魅力に取り憑かれていきました。

 ですが、「様々な体型に対してどのように向き合っていくか」というテーマにおける壁は高く大きいものであり、この宿題は日本に戻って解決するのが良いのではないかという考えから、私は2009年に東京に戻りました。

 2015年に、3Dカメラを使っての寸法・体型の把握に挑戦しましたが、画像処理等に時間がかかりすぎること、やはり写真では精密さに欠けることなどがわかり、断念しました。

 2019年、弊社の経営革新計画に関する承認を東京都から頂くことができ、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」にて3Dスキャナー、3DCADCLO3D着装シミュレーションシステム)を入手しました。

 そして2021年、経済産業省より「事業再構築補助金」を受け、「3DボディスキャナーとAIを活用した仮縫不要パターン制作事業」(プロジェクト名)の展開を開始いたしました。そこにおきましては、国立研究開発法人である産業技術総合研究所と委託業務契約を結ばせていただき、現在、AIに学習させる実験を進めております。



 以上のような道のりを経て、弊社では今、3Dスキャナーデジタルの進化によって正確にアバターが再現できるようになりました。これにより、人の体のそれぞれのパーツの面積や体積を測ることができます。そして、あともう一歩で、様々な体型の更に正確な把握が可能となるでしょう。私が開発し、命名した「やじろべえ理論」(洋服のバランスの取り方に関する理論)をも駆使し、より軽い、よりストレスのない、「貴方だけの服」を提供させていただきたく存じます。

 今後共ご支援の程、宜しくお願い申し上げます。



船橋幸彦


2021/04/17

千代田区二番町と3Dボディスキャナー

 4月も半ばとなってきましたが、皆様如何お過ごしでしょうか。

さて、サルトリアイプシロンは日本橋での営業を3月いっぱいで終了し、4月から東京の中心により近い千代田区二番町(地図はこちら)へと移転して参りました。

4月5日より営業する予定でしたが思っていた以上に準備に時間がかかってしまい、今週より営業を徐々に再開しておりました。来週19日(月)からは通常営業になりますので皆様のご来店心よりお待ち致しております。


そして今回新天地での目玉として「3Dボディスキャナー」が導入されました。

これは船橋が長年目的としていたもので、念願かなっての導入です。




この3本の柱の中心に立ち、わずか0.5秒で全身を3D撮影・計測致します。

この3D計測により、一瞬で正確な体型情報を得る事が出来ます。
寸法だけでなく、身体の曲がり具合やくせなど服の「体型補正」をする上で一番重要な情報が分かります。

また、メジャーで測る場合は人によって数値のズレが確実に生じますが、3D計測ではそのような事が無くなります。
知ることの出来る計測箇所も60か所以上で、さらにプラスして船橋のやじろべえ理論に必要な箇所をカスタマイズして計測出来るようにしております。(現在カスタマイズ作業中)


これまで我々の作る服は船橋がメジャーを使って手で採寸していた値を、船橋独自の補正理論で動くCADでお客様個人の型紙を作っておりました。
そこには数値だけでなく体型のクセを目で見て、塩梅を加味した上で型紙に反映しておりました。

今回3D計測が導入されたことにより、人それぞれの体型のクセも瞬時にリアルに数値化されます。
その数値と船橋の培った経験値が合わさり、今までよりもさらに高精度な体型情報が瞬時に型紙として作成されることになります。

計測した数値を落とし込んだCAD型紙(2D)


ここまでですと単純に採寸の手間が無くなったのと、3D情報により体型の把握がしやすくなっただけという感じがします。
実際これだけでもビスポークの中ではかなり進化した話かと思いますが、まだこの先があります。

この時点でのCADの型紙は2Dです。

ここから更にこの型紙を3Dにしていきます。
それが『3D CAD』です。

3D CADはデジタル上で縫い上げる事ができ、そのままデジタル上で服が出来ます。

縫い合わせ指定をした3D CAD型紙(船橋の体型)

そして、今度はCLOというソフトを使い、3D計測した数値を取り込んでデジタル上にアバターを作ります。
このアバターの凄いところは関節も出来るので、例えば歩いている時のような体勢など自由に動かせます。

↓に船橋を3D計測し、それをアバターに取り込む様子を動画にてアップ致しました。
白い人間が船橋を3D計測したもので、元から入っているアバターと融合させる事により間接ができ動かすことが可能になります。(顔はデフォルトのままですが、体型は船橋に変わります)

船橋アバター動画

そして、このアバターが出来上がりましたら、先程の3D CAD型紙を縫い合わせます。



そして縫い合わせをした後、引っ掛かりやラペルの返りなどをきちんと整えて着せ付けを致します。そちらの動画もご覧下さい。



着せ付けた画像

以上が船橋が数年に渡って取り組んでいる3Dボディスキャナーと3D CADによるオーダーシステム及びデジタルフィッティングの概要です。
実際3D CADとデジタルフィッティングはまだ実証を重ねている段階ですので、我々のビスポークは今までと同様船橋が直に仮縫いを行うクラシックなものですが、実用可能な段階になりますといつでもどこでも高精度なオーダー服を気軽に注文できる未来になっていくと思います。

ただ、このシステムは40年以上ビスポークスーツを作り続け、様々な体型の方を見て補正をしてきた船橋のアナログの経験と蓄積があるからこそデジタルに反映できるものであり、手でものづくりをする事をもっと大切にしていくための進化でもあるかと思います。

以下は代表の船橋から皆様へ。

 「この度、千代田区二番町に引越しいたしました。
このタイミングで念願の3Dボディスキャナーを導入する事が出来ました。
このシステムはこの先、採寸して、パターンを3Dに置き換え、アバターに着せ付け、バランスを確認してその場で補正が出来るようになります。
なぜこれにこだわるのかと申しますと、人の身体はそれぞれに複雑です。更にその上から衣服を着ています。その状態から体型を完璧に把握するのは不可能に近い事です。
私はどうしてもお客様の身体の一部になる様な、バランスの取れたストレスを感じさせない服を着ていただきたいとの思いからこのシステムの実現に長年取り組んできました。
そして遂に今月よりボディスキャナーでの採寸を始めました。
新たなサルトリアの形を感じていただけたらと思います。」

サルトリア・イプシロン代表 船橋 幸彦




サルトリアイプシロン Sartoria Ypsilon

東京都千代田区二番町1-2 番町ハイム101-2
03-6225-2257

ypsilonjapan@gmail.com


2020/06/02

営業再開のお知らせ

いつの間にか季節はもう梅雨が近づいてきました。

緊急事態宣言の解除に伴い、当店は6月1日(月)より通常営業を再開致しました。

今まで通り店舗は10時半~19時半での営業をしております。
ただ、恐れ入りますがご来店の際にはご予約頂くかお越しの前に一度ご連絡の程お願い致します。

店内は換気を必ずし、除菌も都度しております。
また、マスク着用でのご来店をお願い致します。我々もマスク着用での接客をさせて頂きますので、そちらもご了承頂きたく存じます。


お客様には安心してお越し頂ける様準備の上お迎えさせていただいております。
どうぞ皆様のご来店を心よりお待ち申し上げます。

サルトリアイプシロン代表 船橋幸彦





2020/01/06

新年のご挨拶

新年明けましておめでとうございます。
昨年はご愛顧いただき、誠に有り難うございました。
本年もどうぞ宜しくお願い致します。

さて今回は、元号が平成から令和へ変わるという時代の節目において今一度、
"服を着る"ということに関して考えてみたいと思います。

近代化の始まりである明治時代の日本に、大きな影響を与えた偉人の文章を添付致します。

トーマス・カーライル(Thomas Carlyle) 1795年12月4日-1881年2月5日
人は、生まれて名前を付けられる。身体は魂を入れる器である。
の身体に名前と言う着物を着せつけられるのである。
名前はその成長とともに教育、知識、教養、倫理、哲学、文学、音楽等を身に着けて行く。
さながらその名前に見合った衣服を身に着けるかのように。
服とはそうした、人の総てを顕わしてあるものである。
其の器、身体を包むのは衣服であり、其の衣服を選ぶのは知性であり教養である。
日常の習慣性、着る、身を包む事への儀式的意識が必要で在った時代に於いては
貴族の貴族たる所以を考えると、其処にみえる貴族性のコードが存在した。
時間を制御する為の日常を凌駕する規則、その規則にそぐえる為の衣装、と道具。
現代では便利さを追求する資本主義の産物としての衣服、
利便さと経済格差が商品化された生活空間からの脱却は、容易ならぬ決意と意志の強さが求められてくる。
身体が器、となると器は磨き、ひからせなければならない。
ストレッチ、筋力トレーニング、ランニング、ヨガ、体操、坐禅、
心を鍛える為には読書,満巻の書に対峙しなければならない。


現代において、このような考え方は驚きに値するといっても過言ではないのではないでしょうか。
明治維新の知識人に彼の言葉が大きな影響を与えたことは事実のようです。
平成から令和の転換の時代に我々もこの考え方で今一度、自分自身を振り返ってみるのも、
今後の豊かさ・楽しみに繋がるのではないでしょうか。

船橋幸彦

2019/10/10

12日お休みのお知らせ

急なお知らせですが、今週12日(土)は台風19号の接近に伴いまして臨時休業とさせて頂きます。

今年最大の台風のようですので、皆様もどうかお気を付け下さい。


サルトリアイプシロン 

2019/09/06

文化ファッション大学院大学での講義

9月に入りました。
秋物の服が恋しくなってきましたが、まだまだ暑いですね。


さて、少し前ですが、7月に代表の船橋が文化ファッション大学院大学(BFGU)にて特別講義をしてきましたので、その模様を少しご紹介致します。

まずは今回の講義について船橋のコメントです。


・バランス理論講義
「BFGUでの特別講義も今年で3回目となりました。今回はバランス理論の必要性を基本に、実際に生徒さんに体感してもらう内容にしました。

生徒さんに代表で男女一人づつ出てもらい、まずこちらで用意したゲージサンプルのジャケットをそのまま着てもらいます。そして私が普段仮縫いの際に行っている、ジャケットの肩を外してピンで留め直すフィッティングを施し、その方の体型のバランスに合わせます。そうすることにより、バランスを合わす前と後での着心地の変わり方が体感できるのです。最後に椅子に着席してもらい、前のボタンを外さずとも窮屈でなく、どこも当たる所が無いかも確認してもらいます。座ると、ジャケットがその方にどれだけフィットしているかが余計に分かるのです。
立っても座っても見た目に変なシワが無くなるので、他の生徒さんにも以前以後の変化が分かります。

この、きちんとバランスの取れた服が如何に着やすく美しいかを、まずは服飾を学ぶ方々に教えたいと思い今回はこのような内容の講義にしました。」



という事で、今回はジャケットのフィッティングを主にした講義を致しました。

ではその様子を少しだけ。


2日間に亘り講義を致しました。
毎年7月にご招待頂き、今回で3回目です。


生徒さんにゲージを着せたところです。割と体型に合っているので分かりづらいですが、よく見ると微妙に首の下辺りツキのようなシワが出ています。また、左肩の先の方の骨が張っているので生地が少し突っ張り気味なのと、それによって左の裾辺りがほんの少し浮き上がって見えます。
この後袖を外し、肩の縫い目も外してピンで留め直し、直接バランスを取っていきます。




肩をピンで留め直した後です。
首の下のツキが無くなり、肩全体も綺麗に乗っています。
座っても肩と首の乗りがぶれません。


女子生徒さんにも同様にフィッティングを行いました。

背中も綺麗です。



一昨年の講義はパンツのパターン作成から本縫いまでを行い、昨年はジャケットのパターン作成からシーチングでの組み立て、着せ付けを行いました。(昨年の講義のブログはこちら

毎年タイトルには「バランス理論による~」とついているのですが、バランス理論とは洋服を各自の体型にきちんと合わせ、更にそのバランスを数値で見て体型を完璧に判断・把握するというのが本質であり、ある意味今年のフィッティングの講義が一番直球に近い話だったのではないかと思います。


このような内容は学校の授業ではなかなか聞く事がないと思いますが、一つの理論として心に響いて頂けたら嬉しいですね。

またこのような機会がありましたらお知らせ致します。



2018/08/03

文化ファッション大学院大学での特別講義

本日もとても気温が高いですね。
昨日も最高気温を更新した地域があったようで、秋の涼しさが恋しくなりますね。

さて、この度代表の船橋が文化ファッション大学院大学でバランス理論を用いた特別講義を行いましたのでお知らせ致します。

ご縁がありこちらの学校での講義は2回目となりまして、去年はパンツのパターン作成と縫製、今年はジャケットのパターン作成とシーチングという仮縫い用の生地を使用して組み立てからフィッティングまでを体験頂きました。

こちらの学校は系列の文化服装学院や文化学園大学と比べて海外からの留学生が多く在籍しているようですが、皆さん日本語がとても上手で真面目に講義を受ける姿に船橋も感心しておりました。





船橋から講義について感想です。
昨年に続いて文化ファッション大学院大学にてバランス理論の特別講義を行い、ジャケットの基本製図と身体にどう着せつけるのが美しく楽なのかを解説致しました。
生徒の皆さんがそれぞれのパターンを作り、仮縫いを組んでフッテングとバランス調整を行いました。
この特別講義では、バランスの変化による見た目と着心地がどれほど変わるのか生徒の皆さんに体感して頂く事を目的としており、これから服飾業界を志す方々にとってこの体験はとても大切な事だと私は思っております。



生徒の代表者が実際に仮縫いのジャケットを着用し、船橋がデモンストレーションを行っている様子。



文化ファッション大学院大学の生徒の皆さん


基本的なジャケットの作図の仕方とパターン作成からフィッティングまでを3週にわたり合計9時間程で行いましたので、講義も急ピッチで進める事になりましたが、生徒の皆さんも課題をこなしておりましたので毎回スムーズに進行出来ました。

文化ファッション大学院大学の先生方、今回もこの様な場を設けて頂きありがとうございます。
今回体験頂いた事が少しでも生徒の皆さんのお役に立てたら何よりです。
卒業後の皆さんのご活躍をお祈り致します。

サルトリアイプシロン Sartoria Ypsilon

東京都中央区日本橋本町4-7-2 ニュー小林ビル3階

03-6225-2257

info@sartoriaypsilon.jp

2018/07/13

木越洋さん着用のタキシードについて

猛暑のような暑さが続きますね。
各地で続々と海開きもあり本格的な夏到来です。

先日行いましたチェリストの木越洋さん、ピアニストの木越聰子さんによるアトリエコンサート、本当に素晴らしかったです。
アトリエコンサートでは弊社で仕立てたタキシードをご着用頂きました。
以前仕上りのブログをアップしましたが、このタキシードについて船橋の解説を紹介致します。



今回のアトリエ コンサートはチェロリストの木越洋さんのお陰で無事開催することが出来ました。
当日着用されていた木越さんのタキシードは、我々サルトリアイプシロンのジャッカカミーチャ仕様でお作り致しました。

形を保つ為の硬い芯が入る事により、重さとストレスを感じる従来のタキシードとは全く正反対のこの仕様は、繊細な肉体労働を強いられる演奏家の方々には正にうってつけだと感じております。

仮縫いの際、木越さんは「私はタキシードのボタンは掛けないで演奏してます」と仰いました。
「何故ボタンを掛けず演奏されるのですか」とお聞きしたところ、ボタンを掛けるとジャケットが演奏の邪魔になるからとの事でした。
ところが私たちのタキシードを着用したアトリエコンサートではボタンは掛けられたままで、
弾いている姿も、立ち姿も、とてもエレガントでした。

私の提唱するバランス理論によるジャケット作りは、重さとストレスを省き、着ている事を感じさせません。

この体験は着用されている御本人が最も強く感じられるのです。


船橋幸彦




 仮縫いの様子



アトリエコンサートでの様子。

本番の演奏中もジャケットは首の後ろに襟が乗り、ブレることなくバランスを保っておりました。
横の席から見ていたあるお客様は終演後、演奏も然ることながらジャケットのブレなさに感動したという感想を仰っていただき、こちらも嬉しく思った次第です。

木越さんからも演奏後にジャケットの着心地について、全くストレスが無く軽いという感想をいただき、誠に光栄でした。

また演奏の機会がございましたら、ぜひ皆様に素晴らしいチェロの演奏と弊社のバランス理論を体感して頂きたく存じます。




サルトリアイプシロン Sartoria Ypsilon

東京都中央区日本橋本町4-7-2 ニュー小林ビル3階

03-6225-2257

info@sartoriaypsilon.jp




2017/03/09

出島表門橋


みなさまご存知でしたでしょうか?

弊社の代表船橋の故郷長崎では、2013年12月から明治時代に撤去された出島の表門橋を復元するプロジェクトが発足され、今年の2月27日遂に「出島表門橋」が完成致しました。

元々長崎市では1951年から100年計画で出島を復元する計画があり、今回の表門橋架設もその一環として進められていたようですね。

出島に橋が架かるのは実に130年ぶりの事だそうで、当日は架橋イベントとして橋の完成を見物する為多くの人々がカステラを片手に完成を見守っていたそうですよ。

代表船橋もこれを大変喜ばしく思い、ぜひみなさまにお知らせしたいとの事でしたので、ブログに綴った次第でございます。

~船橋からのコメント~
出島に130年前の橋が再現されました。
私は長崎市生まれの長崎育ちなので、これは大変興味深く、嬉しい出来事です。
この出島が日本の近代化を早め、大事な役目を果たしたことは、皆様もご存じのことと思います。
そして昨年、出島は世界遺産として登録されました。

「市井」という言葉がありますが、井戸のある所に人が集まるように、「外来の新しい知識」のある出島に人が集まり、すべてが分け隔て無く啓蒙され、新しい物事が生まれていったのでしょう。

私どもがアトリエを構えるここ日本橋も、江戸時代に五街道の起点であったことで地方から多くの人が集まり、混ざり合った結果、新しい文化を産み出す拠点の「市井」となっていきました。

当時、日本橋四丁目には長崎屋と云う薬種屋がありました。
長崎に駐在していたオランダ商館長の江戸参府の折の定宿地となり、またそれにはケンベルやツンベルク、シーボルトなどといった医師が随行したため、長崎屋は江戸唯一の外国人の交流地としても有名になり、日本の名だたる人達が訪れた様です。

そして私は、この日本橋4丁目に、長崎、東京、ロンドン、ローマ、ミラノとめぐりめぐったあと、戻って参ったのです。





こちらの写真は弊社からも近い室町3丁目交差点の新日本橋駅4番出口脇に設置されている説明板でございます。

春の訪れも近くなりましたので、弊社に訪れた際は近隣を散歩しながら長崎と日本橋との繋がりや江戸文化に思いを馳せるのもまた一興かと存じます。



2017/01/10

イタリア便り マダム・バタフライ

前回のブログでお伝えしました通り、代表の船橋がイタリアに行っております。


少しですが写真と便りが送られてきましたので、ご紹介致します。





初日は20時半にミラノのリナーテ空港に到着しました。
夜のライトアップされたドゥオモとガレリアです。過去何度も写真を送ってもらってますが、夜の写真は初です。めちゃめちゃ綺麗ですね。


翌日は今回の出張の目的の1つで、スカラ座でやっているオペラ「蝶々夫人(マダム・バタフライ)」を鑑賞しました。
というのも、今回のマダム・バタフライは日伊国交150年記念講演であり、更に、船橋の娘さんがダンサーとして出演しております。出張のタイミングと千秋楽が重なっておりましたので、なんとか見ることが出来ました。


という訳で朝6時50分に切符を取りにスカラへ。

船橋と一緒に写っている方は有名なダフ屋のジャンニです。愛犬はクッチョロ。クッチョロは子犬という意味ですが、12歳だそうです。ちなみにクッチョロは6代目。すごい!
この時気温マイナス1度にも拘らず、コートを着ておりません。聞くと、「現代人は冬は暖房、夏はクーラーと空気を遮断している。俺はaria aperto(開けっ放し)が好きなんだ。おまけに現代人は化学繊維ばかり着ている。これらは永く持たない。ウール、コットン、リネンと天然素材は永く愛用出来るんだ」と平然とこの格好で言うそうです。さすがですね。


少し遅れてお兄さん(よしさん)も到着。よしさんはジャンニに挨拶して5、6人の馴染みのイタリア人とオペラの昔話に花が咲いていたようです。(よしさんはオペラマニア)

オペラ好きのマントの男

この回廊に切符を欲しがる人たち約200人が並ぶそうです。

スカラの切符の買い方は、9時に順番待ち140人まで身分証を控えて、3時間後の12時に同じ場所に集まり順番に番号札を貰う方式です。

9時から12時まで時間があるので、近くの美術館でやっていた北斎・広重・歌麿展に行きました。
こちらも日伊国交150年記念だそうです。


左がドゥオモ。右が美術館。

ドゥオモのバール。


12時になり番号札を貰いに行きました。ジャンニが1番でしたが、それを譲ってくれて1番の番号札を手に入れ、無事マダム・バタフライの切符を購入。

マダム・バタフライの切符。名前が入っております。


お昼を食べたリストランテ 「A Santa Lucia」
壁にはオペラ歌手の写真がズラリと飾ってあります。



そして、昼食を終えスカラ座へ。



スカラ座外観


スカラ座内。天井座席です。超満員です。



カーテンコール


終演後のホール


18時30分終了後のスカラ座です。


イタリア便り1日目はこれにて終了です。

今回のマダム・バタフライは、1904年の初演版を112年ぶりに行ったそうです。初演版は当時不評に終わり、その後は改訂されて上演されてきました。その不評に終わった初演版ですが、今回は大好評のうちに幕を閉じたそうです。

2日目は生地の産地、イタリア・ビエラ地区から便りが届くと思います。

下記リンクもご覧ください。












2016/10/08

イタリア中部地震について

1ヶ月半ほど前の8月24日にイタリア中部地震が起きたことは記憶に新しいことと思います。
そのイタリア中部地震から見るイタリアという国の在り方について、イタリア在住の比較文化研究家・文筆家の片岡潤子さんが神戸日伊協会会報2016秋号に寄稿した文章を今回掲載させて頂きます。
外からではなかなか知り得ないイタリアという国の体質が垣間見えると同時に、地震大国日本にいる我々としてもとても考えさせられる内容ですので、是非ご一読いただけると幸いです。


「イタリアにおける地震について」

 2016824日、またしても、イタリア中部アぺニン山脈の町が地震に見舞われました。マグニチュード6.2の中地震ではあるものの震源の深さが10キロと浅い直下型で、石造りの古い建物はひとたまりもなく、死者は約300人にも上りました。

 7年前の20094月、今回と同じくアぺニン山脈の中にあるラクイラ(13世紀に築かれた町。人口67000)で起こった地震においても、死亡者はやはり今回と同じで約300人でした。そのラクイラ地震において重要視されたのは、1972年に建設が開始され完成までになんと28年も要したという総合病院が、崩壊したこと。更には市内の学生寮が崩れて何人もの学生が命を落とし、県庁などの近代的建物が壊れ、町が機能不全になったことなどでした。もちろん、それらにおいて違法建築が明らかになりました。
 そもそも病院の建築期間28年などという あまりにもお粗末なふざけた話に、イタリアという国に対して呆れる気持ちが強くなるばかり。今回の地震の被害の大きさを伝えるニュースを見ても腑に落ちないものがあり、自然災害としてそのまま受け取ることができません。当国は本当にG8G7)のメンバーであろうか、本当に先進国と言えるのであろうか。ヨーロッパ一高いと言ってもいいような税を国民に課しているにもかかわらず、この国はヨーロッパ一機能していないと言っても過言ではない。イタリア国民はこのような国で暴動も起こさずに おとなしく生活しているのです。

 日本人が憧れる国イタリアとフランス。ですがこの二国の国民性には大きな違いがあるように思います。イタリア国民はあまりにも土着的で、従順です。革命を起こしたほどの国民とは違っています。確かにイタリア人のこの牧歌的な性格に日本人は親近感を覚えるのでしょう。しかしこういった資質こそが、あの、問題になった「シャルリー・エブド」の風刺画にて指摘されているように思うのです。
 今回の地震で最も大きな被害を受けたのは、アマトリーチェという人口わずか2650人(20163月現在)の田舎町。「イタリアが誇る美しい村」の一つに選ばれているだけでなく、イタリアの最も伝統的なパスタ料理の一つスパゲッティ・アッラ・アマトリチャーナの発祥地としても有名です。地震の後、この料理が改めて注目され、弔意を示す意味もあるのでしょうか、テレビの料理番組などでも盛んに取り上げられています。
 さて、パスタで有名な村が壊滅したということから、お騒がせの「シャルリー・エブド」仏紙が発表した風刺画がなんと、血を流した被災者をトマトソースのパスタに見立てて描いたものであった件は、日本でも報道されたことと思います。挙げ句の果てに、瓦礫に埋もれた人々をラザニアにして表すという悪趣味ぶり。もちろんイタリア国民は「恥を知れ!」と大反発しました。
 そしてその数日後、「シャルリー・エブド」は性懲りも無く今度は「あなたたちの家を建てたのはシャルリー・エブドじゃないよ。マフィアなんだよ」と書き込んだ漫画を発表したのです。これにも反発が巻き起こりました。ですがこれは、私が上述したことを表しています。「シャルリー・エブド」は元々、こちらの方の風刺をしたかったのでしょう。初めから、被災者をラザニアにしたりせずに こちらの方を発表すればよかったのに。それとも、反発が来ることは想定内で、あえて世間の耳目を集めるためにこの不謹慎な絵を発表したのでしょうか。「だってわかってるの?あなたたちの家を建てたのは僕たちじゃないんだよ。マフィアだよ。責める相手が違うんじゃない?」という返しは実にうまいと思います。不謹慎ながら。
 在伊フランス大使館は、「シャルリー・エブドの漫画はフランスの立場を示すものではない」と慌てて声明を出しました。

 イタリアの最北部は、左右にアルプスが走っています。そして縦にはイタリアのど真ん中をアペニン山脈が北から南に貫いています。そのアペニン山脈が地殻変動によって北東と南西に引っ張られているため、中央の山中で地震が頻発するのだそうです。確かに数年に一度、今回程度(M6程度)の地震が、イタリア中部の村々を半壊滅状態にしていっています。この辺りを襲う地震はいつも震源が浅いため、地震に見舞われる範囲は狭いものの破壊力があるのです。にもかかわらず真摯な地震対策が遅々として進まない。もうこれは、イタリアという国の性格を如実に表している、としか言えません。地震がある度に同じような結果となり、そこで同じような問題が浮上し、同じような嘆きが聞かれる。1979年と1997年に地震の被害を受けたノルチャ(アマトリーチェ近郊。今回も地震に見舞われました)では、過去の苦い経験から、官と民が協力して耐震強化していたそうです。この度は被害がほぼ皆無でした。つまり、景観第一の中世の町にも何らかの対策はあるということなのです。ましてやノルチャは、中世どころか5世紀のサビーニの時代にまで遡る古い古い町なのだそうです。
 イタリアは美しい財産を持ちすぎているから身動きが取れない、ということなのでしょうが、それは本末転倒です。

 今回は夏休み中の未明の地震であり、崩壊した学校に誰もいなかったことが不幸中の幸いでした。そう、「2012年に補助を受けて耐震補強工事が為されていた」という学校が崩れたのです。912日の月曜日、被災地でも新学期が始まりました。仮設の学校に登校してきた子供達にテレビニュースがインタビューをしています。「怖くないよ。大丈夫だよ。だってちゃんと作ってあるもの」。うーん大丈夫なのかなあ。目を輝かせながら胸をそらして元気いっぱいに話すイタリアの生意気な子供たち。彼らを瓦礫に埋もれさせるようなことをしないでほしい。「だってちゃんと作ってあるもの」という言葉を大人たちはしっかりと受け止めてほしいと、心から思います。
 アマトリーチェは老人が多い村であり、夏休みに遊びに来ていたお孫さん達が多く亡くなったそうです。ずらっと並べられた小さな棺と、それに取りすがる母親の姿。こういった光景を見て、イタリアの行政は今どうすべきだと考えているでしょう。イタリアの将来を担う子供たちのために何をすべきとこの国は考えているのでしょう。

 以下に参考資料として、この国で特に多くの死者を出した歴史的な地震を羅列します。これを見ると、「シャルリー・エブド」に嫌味を言われても仕方がないと感じるのです。外国人から見たイタリアへの苛立ちがあの風刺画になって表れたのだと私は思います。

1117年 北東伊ヴェローナM6.4死者3
1169年 東シチリアM6.6死者2
1348年 北東伊フリウリM6.7死者1
1456年 中部伊M6.96死者3
1638年 南伊カラブリアM7死者1
1688年 南伊M7死者30001?
1693年 東シチリア、ナポリM7.41死者シチリア6万、ナポリ不明。イタリア史上最大規模の地震
1694年 南伊バジリカータM6.9死者6000
1703年 中部伊ノルチャ、ラクイラM6.7死者60009000
1783年 南伊カラブリア、シチリアM6.9死者5
1805年 中南伊カンパーニャ、モリーゼM6.6死者5573
1857年 南伊バジリカータ、カンパーニャM7死者12000
1908年 南伊レッジョカラブリア、シチリアM7.2死者12
1915年 中部伊アブルッツォM7死者33000
1980年 南伊カンパーニャM6.5死者2914


※この文章は神戸日伊協会会報2016年秋号に初出掲載したものです。


比較文化研究家・文筆家

片岡潤子

2016/08/23

サルトリアイプシロン フィッティングシステム動画

この度、サルトリアイプシロンのフィッティングシステムを視覚的にイメージできるよう、映像コンテンツを作成致しました。

フルオーダースーツとは、「一人一人に合ったスーツを作る」と皆様は認識されていると思います。しかし、その「合う」という言葉の具体的な意味についてはそこまで深く認識されていないのではないでしょうか。また、その「合う」という意味の解釈は作り手によっても様々です。

弊社代表の船橋は「首の後ろのポイントに服が乗り、前後のバランスと角度が合っている」という部分に一番重きを置いており、これが所謂「やじろべえ理論」であり、サルトリアイプシロンでの「一人一人に合ったスーツ」という意味です。
そのためには採寸~仮縫いまでのフィッティングという作業が重要で、その方法も特徴的です。
そしてこのフィッティングをより簡潔に確実に出来るように進化させるための準備も進行しております。

しかし、この理論は専門的な話でもあるので言葉だけではなかなか伝わりづらく、少しでも皆様に
分かって頂けたらと思い、今回このような映像を作成致しました。

前半部分は船橋のサルトとしての歴史を、そして後半はそのサルトとして40年余り追い求め辿り着いた理論を分かりやすく説明しております。


是非皆様一度ご覧頂けましたら幸いです。






2016/08/01

Scuola di Sartoria Ypsilon 最終回

6月から始まったパンツ縫製教室「Scuola di Sartoria Ypsilon(スクォ―ラ ディ サルトリアイプシロン)ですが、先週7月30日(土)で遂に最終回を迎えました。

毎週土曜日、全9回の教室でしたが生徒さん達の頑張りもあり、なんとか9回で終わる事ができました。(ほぼ全ての授業で時間を大幅にオーバーしてしまいました、生徒さんすいませんでした、、、)

我々としても今回の教室が初の試みでしたので手さぐりな部分も多々ありましたが、今後教室をやっていく上で大変勉強になりました。

では、8回目の教室の様子も載せてなかったので、8回目からご紹介致します。


 8回目の授業は「持出し・前立て・天狗・腰ウラまとめ」です。

7回目までで既にパンツの形になりましたが裏側はまだ未完成ですので、その裏側部分に生地を据えたり止めてない部分をまつったりなどの、「まとめ」という工程です。



皆さんの手さばきや姿勢などがいつの間にか職人ぽくなっていて、驚きです。

裏のまとめが終了すると、最終回の仕上げで完了です。


 最終回である9回目は「仕上げ(ボタンホール・裾上げ・プレス)」です。

ボタンホールは初めての方にはなかなか難易度の高い作業ですので、いくつか練習をしてきてもらいました。
裾上げは裾の裏側に1周取り付ける当て布(イタリアの専用の布で、battitaccoといいます)が、意外と縫う距離が長いので苦労されてましたね。



ラストスパートです。黙々と作業されています。一つの台に並んで作業する姿、なんだかサルトの作業風景の写真ぽくて雰囲気ありますね。

そして、裾上げも終わり、仕上げのプレスをし、遂に完成!




素晴らしいです。縫いも綺麗です。

我々も感動しました。


最後に船橋から修了証を授与です。


記念の集合写真

この後、皆さんと近くのイタリア料理店にて打ち上げをしました。

縫製教室の第2弾は現在のところは未定ですが、なにかしら出来たらと考えております。
詳細が決まりましたらまたこちらのブログでお知らせいたします。


最後に、教室を終えての船橋の感想です。

「スクォ―ラ ディ サルトリアイプシロンを終えて。

今回、我々の縫製に興味を持つ様々な分野の方が、この教室で勉強されました。
その方の型紙を私が作り、仮縫いをしてそれをご本人が縫うという内容でしたので、皆さんの意欲も素晴らしいものでした。
その意欲に答えるべく、私はイタリアの縫いを基本に教える事に拘りました。それがイプシロンで学ぶ特徴となるからです。

女性の方は服好きの旦那様に作られたのですが、出来上がったパンツを試着されこんなフィット感のある楽なパンツは初めてと絶賛して頂きました。又その時私が履いていましたベルトレスのパンツに目が行き、奥様に次はあれを作ってほしいと要求されていました(笑)

この様に和気あいあいとしたなかで行われた教室は、衣・食・住の「衣」にある基本的な人の喜びを、改めて感じることの出来たものでした。」





2016/07/20

Scuola di SartoriaYpsilon 6、7回目

久しぶりの更新になってしまいました。

毎週土曜に開催しているパンツ縫製教室の6、7回目の様子をお届けします。

6回目は「内股入れ・ベルト裏付け」です。


ベルト裏はコットンの生地を付けます。腰裏と呼ばれるものです。ここは生地の重なりも多い部分なのでミシンではなく手で縫い付けていきます。
腰裏部分が準備出来たら内股も縫います。これで左右で筒の状態になります。

7回目は「小股・尻ぐり縫い」です。
この小股・尻ぐり縫いはパンツ作りのポイントの一つです。この工程が出来ると左右がくっつき、パンツの形になります。
※小股は前身のファスナーより下の股辺りの事を指します。



黙々と、、、

この尻ぐり部分はまず手で縫ってからもう一度ミシンで縫います。

これで左右が付きました。この後縫い代をアイロンで割ります。

割っています。


左右付きました。遂にパンツの形になりましたね。

後はまとめと呼ばれる作業で完成です。教室もあと2回です。